2018年9月15日にこの世を去られた、大女優の樹木希林さん。
希林さんが亡くなられてから、いろんな記事や特番を拝見して、あらためて樹木希林さんという女性は素晴らしかったなぁ~と感動しました。
人間としての深みと生きる覚悟。
そして、器の大きさをとても感じました。
さまざまなインタビューや特別番組でこころに残った言葉などをまとめました。
この記事が、これからのあなたの生き方の参考になればうれしいです。
Contents
人間としてダメなものを修繕しながら生きていく
長い間、俳優(女優)として活躍し、誰の目からみても、❝使命を達成❞ しているように見えた樹木希林さん。
先日、NHKの再放送番組『日曜美術館 北大路魯山人×樹木希林』をみていたときに、意外な言葉が。
それは、俳優が先ではなく、人間が先でその先に俳優という職業があったというのです。
たまたま俳優が生業になっただけだと。
これはいったい、どういうことでしょうか?
役者をやるために人間やっているんじゃなくて、
人間をやっていくための生業として、
役者の皆さんに出会わせていただいたという感覚
だから、執着ないですね。 仕事というものに。
引用元:NHK『日曜美術館 北大路魯山人×樹木希林』
わたしもそうでしたが(苦笑)、割と多くの方が、とかく❝使命❞ というものを探しにいく傾向にあると思います。
わたしも散々やってきましたが、❝自分探し❞ とか(苦笑)
あなたもしていませんか?
それとも、していませんでしたか?
わたしは散々やってきました!
なので、一見、樹木希林さんのように自らの ❝使命❞(俳優という仕事) をみつけ全うし、
素晴らしい功績を残している人がとてもうらやましく思えたりします。
しかし、樹木希林さんにとっての俳優というお仕は、生業としての仕事にしか過ぎず、生活の糧ということ。
まさか、そんな位置づけだったとは?!
しかも、その生業としての俳優のお仕事をさせていただきながら、人間としてのダメなところや欠けているところを少しづつ取り取り繕っていたというのです。
俳優のお仕事はそのためのひとつの手段に過ぎなかったと。
それはまるで、服のほころびを少しずつ丁寧に繕う感覚だというじゃないですか?!
そのようにして、自身を成長させてきた。
心や魂に深みを与え、人間として成長してきたというのです。
わたしはこの言葉に衝撃をうけたと同時に、
本当の ❝生きるとは❞
というのものがほんの少し見えたような気がしました。
人にはそれぞれ生きる上での課題のようなものがあります。
あなたも人生の中で、同じようなパターンで事件や問題が起きたりしませんか?
でも、なかなかそれに気づかなかったり。
そのパターンに気づいても、直せなかったり…。
樹木希林さんは、そういったことを、こつこつと丁寧に、まるでほころびを直すように生きてきたのです。
自分の課題から目をそらさずに。
それは、俳優という職業を通して、人間としての成長を果たしてきたのです。
他人と比較しない
「老い」への不安もなにも、
私はもともと小さいときからキラキラした希望や期待のある子でなかった。
なにかを目指して頑張るというのもなかったわねぇ。
それに私は人と比較しないのよ。
それを武器にしてきた。
引用元:AERAdot インタビュー https://dot.asahi.com/aera/2017050900064.html?page=1
他人と比較しない。
それを武器にしてきたという樹木希林さん。
その信条は、小さい頃の体験や両親の育て方のおかげだと言っています。
小学生の6年生のときのエピソード。
樹木希林さんは運動が得意じゃなく、ある日の水泳大会で、みなが、クロールや平泳ぎなどの競技に出場するなか、❝歩き競争❞ に出場したといいます。
しかも、小学校1年生にまじって。
6年生なのに。
順位は、もちろん、1位。
だから、賞品は1位のもの。
クロールや平泳ぎを精一杯がんばっても、3位だった人よりも、よい賞品をもらいました。
その時は、とてもバカにされ、悪口を言われたりとか。
でも、樹木希林さんは、
『あぁ、これでいいんだ』って思ったそうです。
だって、賞品は一番良かったのですから。
みっともなくても1位。
ここで人生の味をしめたといいます。
なによりも、自分で自分のことをちゃんとわかっていて、それをしっかりと受け入れていたからできる行為ですよね。
そのような樹木希林さんを、ご両親は絶対に責めたり、叱ったりしなかったそうです。
ダメなところがあっても、できないことがあっても、学校をズル休みしても、
むしろ、それをそのまま受け止めて、その個性を優しく受けとめてくれたと言います。
樹木希林さんが、他人と比較せず、自分のよいところ、得意なことを理解し行動できる力をつけたことは、
幼い頃からのご両親の対応や教育が大きく影響しています。
両親が認めてくれている、理解してくれているということは、
子供に、❝自分は自分のままでいいんだ❞ という安心感と自信を与えていきます。
その小さなころの体験の積み重ねがあって、唯一無二の個性を放つ女優 樹木希林さんが誕生したのではないでしょうか。
普段、わたしたちは、世間一般的な基準や考えの ❝ものさし❞ で自分も他人もはかり、
ある基準に達していないと、ひどく劣等感を抱いたり、自分も他人も責めたりしてしまいます。
他人との比較も無意識におこなっています。
そして、それを克服するために、苦手なものやできないことを一生懸命に努力してがんばります。
でも、できないものはできないし、苦手なものは苦手。
もっと自分を理解して、自分に優しくしてあげても良いのではないでしょうか?
そして、得意なこと、できることを伸ばしていく。
人生短いんだから、その方が効率的。
樹木希林さんのご両親のように、親の子供に対する接し方は、子供のその後の人生に絶大な影響をあたえます。
お子さんのいる方はぜひ、その子供の個性を尊重して、認めて受け入れるということをして欲しいなぁと思いました。
『他人と比較しない』という武器
あなたも持ちませんか?
引用元:GMOプリ画像 URL:https://prcm.jp/
俯瞰でものを見る
小さな頃、運動会などでは、❝障害物競走❞ が得意だったという樹木希林さん。
足は遅かったけれど、ササッと瞬時に全体像をつかんで、障害物のところで、追い抜いていったといいます。
瞬時に全体を把握して、俯瞰してものを見る癖は、俳優のお仕事でも大いに役だったといいます。
(障害物競走のように)全体をぱっと見てつかむ、
俯瞰でものを見る癖はふだんからついているわね。
それがないと役を演じられないのよ。
私は脇が多かったでしょう。
主役はいいの。話がずっと描かれているから。
でも脇は出番がぽこっとあって、その前後の人生が描かれていない。
だから自分の役の立ち位置を考えないと演じられないのよ。
引用元:AERAdot インタビュー https://dot.asahi.com/aera/2017050900064.html?page=1
脇役が多かった樹木希林さんにとって、全体をパッとつかみ、物ごとを俯瞰し眺めることができる能力は、脇役を演ずるうえでとても大切な能力だったようです。
たしかに、希林さんがおっしゃるとおり、脇役は、主人公のようにはじめから終わりまで詳細に描かれていません。
なので、どれだけその人物の本質をつかみ取り、想像力を働かせて、脇役を詳細に演ずるかで、
物語の信憑性や真意の伝わり方も大きく違ってきます。
この物ごとの全体像をパッとつかみ、本質を見抜く力は、希林さんの人生観にもつながっているのではないでしょうか。
抽象度を上げて全体を見ることができると、まったく違うことに見えるものや現象の中にも、本質は同じであることが多々あります。
それが見える力は、人生を歩むうえでも、効率的になっていきます。
これは、樹木希林さんが、ご自分の個性をきちんと把握できているところにも通ずるものがありそうです。
わたしは、物ごとを俯瞰して眺めるとか、抽象度を上げて理解するということが得意な方ではないのですが(苦笑)、
この樹木希林さんのあり方を見習い、意識して実践していこうと思いました!
樹木希林さんの『ちゃんと生きる』とは?
樹木希林さんは、なんでもない日常を淡々と、こつこつと継続していくことが大切だと言っています。
なんでもない日常を当たり前にやり続けるというのは、
❝不思議❞ なこと。
きちんと家の中を掃除したり、
整理したりとなんでもないことをやるの。
その積み重ねが不思議だし、人間を大きく変えるのよ。
引用元:仏教タイムスインタビュー
先日再放送された TBS『ぴったんこカンカン』 では、樹木希林さんの自宅が公開されていました。
ご覧になった方もたくさんいらっしゃると思います。
本当に素敵なお宅でしたよね~!
見事なまでのセンスの良さと綺麗に整えられた空間で、素敵なお部屋ばかりで本当に感動しました!!
家の中の調度やパーツなどは、頂きものや、拾ってきたもの?、アンティークなどが多くありました。
モノを選び抜く眼とセンスが抜群で、気に入らないものは絶対に家の中に取り入れない強さも素晴らしいなと感動しました。
審美眼が鋭すぎます!!
しかも、あれだけの広いお家で、高齢でありながら、体調も思わしくない中、ご自分で掃除、片付けをされているからさらに驚きです!
なんでもないことを、当たり前のように、こつこつとやる大切さ。
その積み重ねが不思議で人間を変える。
住環境を整えることは、心を整えること。
あらためて学ばせていただきました。
❝美❞ によって神に近づく
NHKの再放送番組『日曜美術館 北大路魯山人×樹木希林』では、
樹木希林さんは、北大路魯山人のことをつぎのように言っていました。
常識の枠を軽々と飛び越え、偶然が生み出す妙を面白がる。
その精神に心ひかれる。
引用元:NHK『日曜美術館 北大路魯山人×樹木希林』
北大路魯山人(1883~1959年)とは、京都生まれの陶芸家。
他にも、篆刻、料理研究家、書家、画家、美食家でもあり、その才能は多岐に渡る芸術家です。
魯山人と樹木希林さんの中には、共通する何かがある。
だから、希林さんも魯山人に魅かれるのでしょう。
魯山人は、❝美しさ❞ に対して、非常に厳格でした。
ときにそれが災いをもたらすことに。 ある意味、孤高の人。
魯山人の言葉につぎのようなものがあります。
『ただ一つだけみんなにわかって欲しいことは、
わしの人生は、
この世の中を少しでも美しいものにしたいと思いながら、
歩んだ人生だということだ』
樹木希林さんは、魯山人の作品にももちろん魅かれながらも、
そのような美しい作品を残した魯山人という人物に興味があるといっていました。
そしてさらに、
『❝美❞ によって、神の存在に近づく』
といっています。
❝美❞ というものは、人ぞれぞれ基準が違いますが、
樹木希林さんは、自身の考える❝美❞ を、魯山人の❝美❞ の中に見出していたのでしょう。
魯山人は、 ❝ 美❞ というものを決して軽視しない、
厳格なまでに❝美❞ を追求した人。
そのようなところにも、共感するところが多かったのではないでしょうか。
樹木希林さんは、『そんなおこがましいことは言いません』
というかも知れませんが…、
魯山人の ❝美❞ に対しての、精神やあり方に、(自分と)共通するところが感じられるからこそ、
その精神やあり方が、神の存在に近づくものであると樹木希林さんはわかるのかもしれません。
引用元:GMOプリ画像 URL:https://prcm.jp/
樹木希林さんの虚飾ない人生
先日再放送された TBS『ぴったんこカンカン』では、以前未公開だったシーンも紹介されました。
つぎの言葉は、樹木希林さんが、あるジンガロ(騎馬オペラ)のパンフレットに寄せた言葉です。
そのオペラの迫力について、
「虚飾なく、観客にこびず、威張らず、
ものすごいサーカスをあたりまえの感じで演じてしまう
(中略)
何かをみせるためでなく、その燃やした炎で見物人の魂を鎮めてしまう…」
としたためました。
そのことについて、希林さんは、
「これは役者にとって必要なことだなと思って。
そういう演じ方ができたらいいかなぁと思っていたんですが、
なかなかね、いかない。そういうふうにはね」
安住アナは、❝虚飾のない美❞ という言葉は樹木希林さんの演技や人生すべてをあらわしているようだと言っていましたが、
わたしも、まさにこの言葉に樹木希林さんのすべてが凝縮されているような気がしました。
ちなみに、『虚飾』という言葉の意味は、
・内容を伴わない上辺だけの飾りや見栄のこと
・実質が伴わないのに、外見だけでいいように飾ること
芸能界という華やかな世界に身を置きながら、足を地につけて、自分の軸を持ち、ゆるぎない信念で俳優や人生を全うされた樹木希林さん。
多くの人のこころを掴むのは、この ❝虚飾ないあり方❞ にあったのかも知れません。
一切なりゆき 樹木希林のことば (文春新書) [ 樹木希林 ]
まとめ
樹木希林さんの残した言葉の中には、ある種の生きる上での哲学のようなものが感じられ、ものごとを見つめる目に奥行きを感じざるを得ません。
わたしたちが、失ったものや忘れていたこと、大切なあり方などを思い出させてくれる、数々の言葉を残してくれた樹木希林さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
わたしたちも、❝虚飾❞ なく、❝本質❞ を捉えて生きていきたいものですね。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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コメント
とても素敵な記事を読ませていただきました。
ありがとうございます。
今朝、樹木希林さんの名言集なるものが
発刊されたとのことで、さっそくネットで
注文したところだったのですが、karenさんの
記事を見つけ、karenさんのコメントも入って
とってもわかりやすく伝えてくださってるブログに
感激しました!!!
じっくりと、他の記事も読ませていただきたいです☆
どうもありがとうございました!!
コメント、ありがとうございます^^
樹木希林さんの物事を俯瞰して見つめる目は、高くて深いです。
学ぶところ、たくさんあります。
共感してくださる方がいて本当にうれしいです!
ありがとうございました。